現在、路上を走っている車のほとんどはレベル0の手動制御です。ドライバーを支援するシステムは搭載されていたとしても、ドライバーが「動的運転タスク」を実行します。たとえば、緊急ブレーキ・システムは厳密には車を「運転」しないので、自動とはみなされません。
最低レベルの自動化です。自動車にはステアリング操作または加減速操作(クルーズコントロール)など、運転支援の自動化システムが1つだけ搭載されています。後続車との安全距離を保つ機能を備えたアダプティブ・クルーズコントロールは、ステアリング操作やブレーキなどの他の運転要素を人間のドライバーが監視するため、レベル1とみなされます。
先進運転支援システム(ADAS)を意味します。自動車がステアリング操作と加減速操作の両方を制御できます。この自動化では、人が運転席に座っていつでも車を操作できるため、まだ自動運転の段階には達していません。テスラのオートパイロットやゼネラルモーターズのキャデラック・スーパークルーズのシステムはレベル2とみなされます。
レベル2からレベル3への飛躍は技術的にみると相当なものですが、人間からみると、その差は無視できないまでもわずかです。
レベル3の自動車には「環境検出」機能があり、遅い車は加速して追い越すなど、情報に基づいて自己判断できます。ただし、まだ人による手動運転への切り替えが必要です。システムがタスクを実行できない場合に備えて、ドライバーは注意を怠らず、自分で操作する心構えをしている必要があります。
2年ほど前、アウディ(フォルクスワーゲン)は次世代型フラッグシップセダンA8が量産では世界初のレベル3自動車になると発表しました。そしてそれは実現されました。この秋、2019年型アウディA8Lが実用車として販売代理店に登場します。A8Lは高度なセンサーフュージョンと処理能力(さらに、コンポーネントに障害が発生した場合に備えた冗長性の内蔵)を組み合わせたトラフィックジャム・パイロットを装備しています。
アウディが驚異的なエンジニアリングを開発している一方で、自動運転を規定する米国の規制プロセスは連邦のガイドラインから州単位へとシフトしていきました。そのため、当面の間、A8Lは米国では依然としてレベル2に分類され、レベル3の機能の実現に必要とされる主要なハードウェアやソフトウェアなしで出荷されることになりますが、ヨーロッパでは(ドイツを皮切りに)、アウディはトラフィックジャム・パイロットを装備したレベル3のA8Lを展開する予定です。
レベル3とレベル4の自動化の主な違いは、システムに不具合や故障があった場合に、レベル4では自動車が操作できるという点にあります。この点で、レベル4の自動車はほとんどの場合に人の操作が不要ですが、人が手動に切り替えて操作することもできます。
レベル4の自動車は自動運転モードで操作できますが、法制とインフラが整備されるまでは、自動運転で走行できるエリアは限定されます(通常は最高速度が平均時速48km程度の都市環境)。このような状況をジオフェンシングと呼び、現状ではレベル4のほとんどの車はライドシェアリングを目指しています。例:
レベル5の自動車は人間による注意が不要で、「動的運転タスク」を排除します。レベル5の自動車にはステアリングホイールやアクセルペダル/ブレーキペダルすらありません。ジオフェンシングによる制限もなく、経験豊富なドライバーと同様に好きな場所へ行って、好きなことをできます。完全自動運転車は世界のごく一部の地区でテストが実施されていますが、一般向けにはまだ提供されていません。これが実現するのは何年も先のことでしょうが、車に乗り込み、「職場に行って」と伝えた後はすべて車に任せて、プレゼンテーションの仕上げをしたり、Netflixの番組を一気に視聴したり、ヘアスタイルを整えたりして過ごせるようになることを想像しただけでも感動的です。