プロトタイピングの用途

ASIC/SoC設計の合成可能なRTLソースコードが入手可能な場合には、シノプシスのHAPSプロトタイピング・システムを使用して、シリコンのテープアウト前にソフトウェアの開発、SoCハードウェアの検証、システム検証を行うことができます。ハードウェア/ソフトウェア設計の面では、HAPS®システムはSoC開発工程でさまざまな役割を果たします。

DUT(Design Under Test:テスト対象のデザイン)のレビューの高速化

数メガヘルツの動作を実現するHAPSプロトタイプは、動作確認のために膨大なテストパターンを必要とするIPやサブシステムの高速検証を可能にします。一般的な使用モデルとして、HapsTrak 3メモリー・ドーターボードのメモリー・プリロード/リードバックとホスト・ワークステーションからの直接ストリーミングの2つがあります。HAPS UMRBusは安定した高パフォーマンスの物理リンクとAPIを備えており、上記の両方のモデルに対応できるため、USBまたはPCIe接続でホスト・ワークステーションとHAPSシステムを簡単に統合できます。DUTテストでは、テストデータと結果データを備えたオンボードDDR3 SDRAMのプリロードとリードバックがメディア・コーデックの確認に最適です。HAPS設計事例を集めたシノプシスのSolvNetカタログには、DDR3メモリー・インターフェイス・コントローラを統合してHapsTrak 38GBメモリー・モジュールに対応するDUTテスト治具が含まれています。Tcl/C/C++向けのUMRBus APIを使用することでテスト環境への導入が容易になり、優れたモジュール性と再利用性を備えたHAPSを利用することにより、カスタム・テスト環境の開発に煩わされず、新しい設計・検証作業に専念することができます。

ソフトウェア開発期間の短縮

高性能プロトタイプを使用することにより、設計の早期段階でソフトウェア開発を開始できます。HAPSシステムは、数百MHzの内部システム周波数を実現し、ソフトウェア・スタックの低レベルのファームウェアの実行、およびオペレーティング・システム全体やアプリケーション・ソフトウェアの実行をSoC設計に取り入れることも可能にします。バーチャル・プロトタイプ Virtualizer™ との組み合わせにより、HAPSのプロトタイプをSystemC/TLMベースのプロセッサ・モデルと同時に実行し、それぞれのプロトタイピング手法の能力を最大限に発揮する独自の高機能なハイブリッド・プロトタイプを作成することもできます。

エンド・ユーザーの評価

HAPSシステムは軽量で可搬性に優れています。従来の電源を使用してその場で素早く組み立て、顧客へのデモンストレーション、業界会議、「プラグフェスト」など、ラボ環境外部での検証シナリオに活用することができます。

プロトタイピング・ファーム

最近では、ASICプロトタイプは多くの場合に共有ITリソースとして統合されています。ROIとリグレッション・スループットを最大化するため、HAPS-80プロトタイピングは共有/管理機能の搭載によりマルチデザインとリモート共有の両方の用途に対応します。HAPS Multi-Design Mode(MDM)機能により、複数の独立したデザインをマルチFPGA HAPSシステム上でプログラミングできます。これにより、FPGAがアイドル状態になることを回避し、マルチFPGAシステムの使用率を高めてワークフローの並列化を進めることが可能になります。統合型Ethernetインターフェイスとランタイム管理サーバーにより、リモート・クライアントからシステムに接続し、1つまたは複数のFPGAへのデザインの割り当てやデザインの実行を行うことができます。これによりIPブロック単体、サブシステム、またはSoCデザイン全体のランタイムシナリオを同時に実行できます。