フォトニクスコンポーネントの重要な点は、その構造がサポートする光学モードを解析することです。多くの構造は伝搬距離の変化が少なく、解析は簡単ですが、大きく変化する構造もあり、より詳細な解析が必要です。このクイック・チップスでは、ナイフエッジ・スポットサイズコンバータ(SSC)構造内の特定の断面におけるモードプロファイルの計算について説明します。使用した手法の詳細は、BeamPROP マニュアルに記載されています。
SSCは、光集積回路において最も重要な部品の一つです。ナイフエッジSSCは、TE偏波、TM偏波ともに低挿入損失であることが報告されています[1],[2]。 ナイフエッジSSCは、幅の広いテーパーと鋭いナイフ状の先端からなり、レンズ付きシングルモードファイバからの光をシリコンワイヤに、またはその逆に変換します。このデバイスでは、構造体に沿ったモードプロファイルの変化を理解することが有用です。
図1:ナイフエッジSSCの模式図とRSoft CAD環境でのこの構造体のセットアップ
1. BPMモードソルバーによる特定伝搬位置でのモードプロファイルの計算
BPMモードソルバーで構造体内の特定のZ位置のモードを計算するには、シンボルテーブルで変数mode_lengthに特定の値を設定します。このシンボルは、モード計算のZ長を設定することと、計算のためにZ領域最小で構造を拡張することの2つの役割を果たします。今回は、mode_length を 1000 に設定しています。しかし、これは一例であり、ユーザーが任意の値を選択することができます。
SSC の設計で最も重要なパラメータは、テーパーの長さと形状です。一般的な設計手法として、入力モードと出力モードの両方について伝搬方向に沿ったオーバーラップパワーを計算し、デバイス内でパワーがどのようにカップリングするかを確認する方法があります。理想的な設計では、入力モードのパワーのほとんどが出力モードのパワーに変換されます。図 2 は、Si の幅と高さが異なる複数の Z カットにおける TE と TM の両モードの計算結果を示しています。両偏波とも、プロファイルがSiワイヤーモードから上部カバーのセカンドコアモードに変化していることが分かります。
図2: テーパーの位置を変え、様々なSi幅と高さの光学モードの主要電界を測定した結果
2. デバイス内のモードの実効屈折率変化の確認
Z領域の最小値をスキャンすることで、デバイス内のモード形状を確認することができます。mode_length シンボルを設定したので、構造形状を効果的にスキャンし、各位置でサポートされるモードが計算されることになります。図3(a)は、TEモードとTMモードの実効屈折率がSSCの長さ方向によってどのように変化するかを示したものです。2 つの Neff がどの z-position から収束し始めるかがわかります。
図3: (a) SSC位置におけるTEモードとTMモードに対するNeff
(b) SSCに沿った伝搬損失のシミュレーション結果
この解析は、構造内で何が起こっているかをより良く探るのに役立ち、より良い設計をもたらすことができます。設計が完了したら、BeamPROPを使用してデバイス全体の性能を評価することができます。BeamPROPによる伝搬の結果、図3(b)に示すように、このSSCの理論的な挿入損失はTEでわずか0.08dB、TMで0.1 dBであることが分かりました。
参考文献
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