Optical and Photonic Solutions Blog~日本語版~
公開日:2024年9月20日
ダイナミックなテクノロジーの世界では、自動化が大きな変革をもたらしています。以前は手作業でミスが起こりがちだった作業の効率と精度を高め、仕事のやり方に革命をもたらしています。このような作業の1つが、光学およびフォトニクスの分野で不可欠な、表面の散乱特性の測定です。
この記事では、散乱測定に自動化を使用する利点を探り、この自動化の実現にコンポーネント・オブジェクト・モデル(COM)アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)がどのように役立つかを説明します。
自動化により、データ収集から分析まで、散乱測定プロセス全体がプログラム的に処理されます。COM APIを使用すると、パラメータを設定してプロセスを開始し、システムが測定を処理する間、他のタスクに集中することができます。 散乱測定を自動化すると、反復的な手順を必要とするタスクが容易となり、測定をより迅速に実行することができます。その結果として組織やプロジェクトのニーズに合致したカスタマイズされた測定が可能になります。
散乱測定には多くの反復作業が伴います。 これらの作業を手作業で行うのは面倒で時間がかかります。 また、ヒューマンエラーのリスクも高まり、結果の正確性が損なわれる可能性があります。COM APIを利用した自動化により、これらの作業を効率的に実行することができ、人的介入やエラーの可能性を大幅に低減することが可能です。
スタンドアローン版散乱測定測定器Synopsys REFLET 180S(以下、REFLET 180S) COMオプションを使用すると、プログラミングされたスクリプトを使用して、装置の最も一般的に使用される機能を自動的に実行することができます。 これは、非直交軸サンプリングでマニュアル測定を行う必要がある場合に大きなメリットとなります。例えば、アプリケーションによっては、固定された観察位置に対する入射角の散乱依存性が重要な基準となる場合があります。この種の測定スキャンは通常、手動で実行されます。 コマンドとAPIを使用すれば、「for」ループを使用して反復を実行することで、これらの手動ステップを自動的に実行することが可能です。
ペースの速い現代社会では、一秒一秒が大切です。手作業が必要な散乱測定は、時間のかかるプロセスです。しかし、COM APIを使用してこれらの操作を自動化すれば、データ収集と解析に必要な時間を大幅に短縮できます。この効果を理解するために、入射面が重要なパラメータである異方性サンプルを測定する場合を考えてみましょう。REFLET 180Sのサンプルホルダーは、マニュアル回転式で目盛りが付いているため、このようなサンプルでも異なる面から光を入射させて測定することができ、異方性の挙動を完全に捉えることができます。REFLET 180SのCOM APIオプションでは、このサンプル回転を自動化できます。電動回転ステージと組み合わせて使用することで、追加の操作を行うことなく、サンプルに必要なすべての入射面の特性評価を自動化することができます。
独特なニーズや課題を持つ組織やプロジェクトにとって、画一的なアプローチは合理的なソリューションではありません。COM APIを使用することで、特定の要件に対応し、リソースを最適に使用でき、カスタマイズされた自動化ソリューションを開発し、展開することができます。この柔軟性により、COM APIは散乱測定において価値あるツールとなります。
COM APIと統合されたREFLET 180Sは、高速なデータ収集と解析を可能にし、高速かつ正確な結果を提供します。自動化機能により、重要なタスクを効率的に実行し、特定のニーズに合わせてシステムをプログラムすることが可能です。このレベルのカスタマイズにより、REFLET 180Sは散乱測定において汎用性の高いツールとなります。このアプローチを例で示すために、REFLET 180Sがサンプルの傾きと高さを調整するためのフィードバック・ループの自動化を追加することを考えてみましょう。
測定に先立ち、特性表面が水平でゴニオメーター内の中央にあることを確認する必要があります。これを行うには、調整ネジを使ってサンプルの水平性を調整し、鏡面構成で収集された信号を最大にします。
光源とディテクターは同一平面内にあり、サンプル表面の法線とは反対の角度を持ちます。この手動操作は、正確な測定には不可欠です。電動ゴニオメータを追加し、COM API強度取得をフィードバックループで使用することで、サンプルの調整セットアップの精度を高めることができます。
ポータブル散乱測定器Synopsys Mini-Diff V2(以下、Mini-Diff V2)は現在のところCOM APIをサポートしていません。しかし、この測定器にアドオンを追加することで、データ収集から解析までの散乱測定プロセス全体を自動化できる可能性があります。これにより時間を節約し、正確で一貫性のある結果を得ることができます。
ポータブルな測定器であるMini-Diff V2を使用した生産ラインでの手動測定は、この測定器を電動アームに追加し、COM APIを使用して測定を開始することで自動化できます。収集されたデータは、表面品質のチェックに使用され、オペレーターの介在なしに自動選別機能を提供可能です。
必要な測定の自動化:
精度とスピードが最重要視される光学とフォトニクスの世界では、COM APIを使用して散乱測定を自動化することで大きなメリットが得られます。 上記で述べたREFLET 180SとMini-Diff V2の例をご覧いただければ、このテクノロジーを採用することでどのようなメリットを享受できるか理解いただけると思います。
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