ニュースリリース - 2013年3月26日

シノプシス、最先端のサインオフ・ドリブンECOガイダンス機能でタイミング収束にかかる期間を短縮

先進のプロセス・ノードのデザインでサインオフ工程のやり直しを劇的に削減する新しいテクノロジ

2013年3月25日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体やエレクトロニクス・システムのイノベーションを加速させる開発用ソフトウェア、IP、技術サービスの世界的リーダーであるシノプシス（Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS）は本日、シノプシスが業界をリードするスタティックタイミング解析/サインオフツール PrimeTimeの新テクノロジとなるPrimeTime ADVの提供開始を発表した。PrimeTime ADVは、先進のリーク電流削減機能を提供し、フィジカル設計考慮のサインオフ・ドリブンECO（Engineering Change Order）ガイダンス・テクノロジも今後提供する。このテクノロジは、シノプシスのIC Compilerに搭載された最新テクノロジと連携して、ギガヘルツ級SoCデザインのタイミング収束への最短パスと最小リーク電流を実現する。

FD-SOI（完全空乏型SOI）や3D構造などを用いた超微細プロセス・テクノロジでの最先端デザインは、ムーアの法則に則り、集積度や動作スピードの向上、低消費電力化のペースを維持すべく進化を続けている。チップ上には益々多くの機能が実現されるようになっており、セルの使用率は高度に上昇、非常に厳しい低消費電力化と設計マージン削減の要請が問題の複雑化に拍車をかけている。こうした問題は、タイミング収束をより困難なものとし、その結果ECOタスクの繰り返しの増加を招いている。

STMicroelectronics Technology R&D社のセントラルCAD＆デザイン・ソリューション部門　ディレクター　Indavong Vongsavady氏は、次のように語っている。「タイミング・サインオフと配置配線テクノロジの緊密なリンクで強力なECOソリューションを実現することは、当社の28nm FD-SOIデザインでスケジュール通りにタイミング収束を達成するには不可欠の課題です。PrimeTime ECOの拡張性の高さ、様々な手法でECOガイダンスをインプリメントするIC Compilerとタイトに協調動作することで実現される強力なリーク電流削減機能は、最先端のタイミング収束の実現に最適なソリューションです」

新しいリーク電流削減機能とフィジカル・アウェアECOガイダンス機能は、特許取得済みのPrimeTime ECOテクノロジをベースに実現されているため、設計者が現在使っている設計フローに容易に組み込むことができ、設計のやり直しを最小限に抑えつつ最短のECOサイクルを実現する。PrimeTimeが把握できるフィジカル設計情報より、より優れたECOの選択肢がもたらされ、フィジカル・アウェアECOガイダンスが配置配線ツールに提供される。IC Compilerは、このより優れたガイダンスに基づいてよりすぐれた配置配線を実行でき、ECOがフィジカル設計にもたらす影響を最小化できる。そのため設計のやり直しを最小限に抑えることが可能となる。PrimeTime ADVは、IC Compilerの低消費電力化機能、リーク電流削減機能を補完しつつ、リーク電流最小化タスクをサインオフ解析分野まで拡張する。そのため、多様な動作モードやプロセスコーナーのシナリオに渡ってサインオフ品質のタイミング精度を維持しつつ、より少ない消費電力を実現できる。

シノプシス　スタティックタイミング製品開発担当副社長 Jacob Avidanは、次のように述べている。「デザインに搭載される機能は増える一方で、タイミング設計や低消費電力設計の収束作業は困難を極め、テープアウト・スケジュールは更に厳しくなってきており、これらは新しいプロセス・ジオメトリでのサインオフにとって大きな課題となっています。PrimeTime ADVによって、設計者の生産性は大幅に向上し、リーク電流を最小化する一方で最高動作周波数を実現し、かつ厳格化を極める設計スケジュールを達成することができるようになります」

カリフォルニア州サンタクララで開催中のSNUG（Synopsys Users Group） Silicon Valleyで、3月26日に行われるPrimeTime SIG（Special Interest Group）では、この新しいタイミング収束機能を大きく取り上げる。PrimeTimeのR&DスタッフがPrimeTime ADVテクノロジについて詳細を説明し、タイミング設計のエキスパート・エンジニアたちによる意見交換が行われる。

提供開始時期
PrimeTime ECOのリーク電流削減機能は既に提供を開始している。フィジカル・アウェアECOガイダンス機能はPrimeTimeの2013.06バージョンで提供開始を予定している。