シノプシスのEDAスタック全般にかかわる数十年の協業を拡大
概要
2024年3月18日 カリフォルニア州サニーベール発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、30年以上にわたる協力関係を基盤に、AIと高速コンピューティングのパワーを活用したチップ設計の大幅な高速化と車載プロトタイピングの高度化をNVIDIA社と共同で進めていくことを発表した。この発表は、NVIDIA GTCグローバルAIカンファレンスで行われた。
シノプシス 社長兼CEO Sassine Ghaziは次のように述べている。「シノプシスは、これまで解決不可能だった課題のソリューションを実現するために、開発チームを強化してきました。そして今、AIと高速コンピューティングのパワーを活用することで、そのソリューションを次のレベルへと引き上げようとしています。NVIDIA GH200 Grace Hopper™ Superchipによって強化されたシノプシスの最先端フルEDAスタック全体の性能ポテンシャルと、シリコンから車載システム開発までカバーする幅広いテクノロジに取り組む開発チームの能力を最大限に引き出すためのNVIDIA社との新たな取り組みについてご紹介します」
業界をリードするシノプシスのAIベースEDAスイートをNVIDIA GPUで高速化
シノプシスは、NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipを含むNVIDIAの高速コンピューティング・アーキテクチャを適用することにより、設計/検証/シミュレーション/製造にわたるEDAスタック全体において、現行手法と比較してランタイムが最大15倍と大幅に向上する。具体的には下記のような点が挙げられる。
VCSが提供している業界最高性能のシミュレーションおよび制約ソルバー・エンジンが、NVIDIA GPU上で動作することにより、機能検証ワークロードを高速化する。高度な精粒度並列処理(FGP:Fine-Grained Parallelism)テクノロジと超並列化されたグラフ評価により、より簡単に、より速く、よりスマートにバグを発見できる。
配置工程でCPU/GPUハイブリッドの高速処理性能を活用することにより、コンピューティング負荷の高い探索/最適化の際に、大規模な並列処理を実行できる。
NVIDIA GPUのコンピューティング・パワーを活用することにより、SPICEシミュレーションのワークロードを高速化する。ヘテロジニアスな高速コンピューティング・アーキテクチャにより、高度に複雑な回路のシミュレーションをSPICEレベルの精度でサインオフすることが可能になり、実行時間が数日から数時間に短縮する。
半導体製造プロセスにおける最大の作業負荷であるコンピュテーショナル・リソグラフィを高速化する光近接補正(OPC)ソフトウェアをNVIDIA cuLithoソフトウェア・ライブラリ上で実行することにより、現在のCPUベースの手法と比較してワークロードが劇的に高速化する。
NVIDIA社の創業者でありCEOのJensen Huang氏は、次のように述べている。「生成AIとデジタル・ツインに関するシノプシス社との協業は、将来のチップ設計/自動化/製造の中核をなすものです。同社のEDAスイートとNVIDIAの高速コンピューティング・アーキテクチャの組み合わせがもたらすメリットは、こうした極めて要求の厳しい産業ワークロードで実証されています」
さらに、シノプシスとTSMC社は、微細化の限界を超えて次世代先端半導体チップの製造を加速するために、NVIDIA cuLitho(コンピュテーショナル・リソグラフィ・プラットフォーム)の活用を開始する。
生成AIのチップ設計への応用促進に向けた協業
シノプシスは、Synopsys.ai Copilotを皮切りに、Synopsys.aiの大規模言語モデル(LLM)ベースの機能を強化し、NVIDIA社のAIおよびコンピューティング・プラットフォームをサポートすることで、データ・セットをカスタマイズする際の柔軟性を高め、ネットから切り離したオンプレミスでの活用も可能にする。業界初の生成AI機能であるSynopsys.ai Copilotは、会話型インテリジェンスのパワーにより、開発チームがシステミックな複雑性を克服して、製品の市場投入までの期間を短縮できるように設計されている。
シノプシスは、NVIDIA NeMo™フレームワーク、NVIDIA NIM推論およびNeMo Retrieverマイクロサービス展開コンテナを含むNVIDIA AI Enterpriseソフトウェア・プラットフォームをサポートする。シノプシスの顧客は、NVIDIA DGXシステムの高速コンピューティング・パフォーマンスを活用可能となるため、Synopsys.ai Copilotをネットから隔絶したオンプレミス環境で運用できるようになる。
Synopys.ai Copilotは現在、早期適用顧客向けに提供を開始している。
エレクトロニクスとデジタルツインで車載システム設計を変革
自動車業界は、デジタル化とコンピューティングの高速化によって変貌を遂げつつある。自動車設計チームは現在、現実世界で製造する前に、デジタルの世界で製品を構築し検証している。シノプシスはNVIDIA社と協業し、シノプシスの先進的なエレクトロニクス・デジタル・ツイン・ソリューションとNVIDIA Omniverse™プラットフォームを統合することで、開発コストと市場投入までの期間を削減し、自律走行が進むソフトウェア定義の自動車の安全性を向上させる。
シノプシスのシステム・ソフトウェア、仮想ECU、エレクトロニクス・デジタル・ツイン・ファブリックは、産業ワークロード向けの相互運用可能な3Dアプリケーションを構築するための開発プラットフォームOmniverseと接続される。シノプシスの仮想プロトタイピング・ソリューションにより、自動車開発チームは車載システムのデジタル・ツインを活用して、車載ソフトウェアとシステムの開発/テスト/検証を実行できる。またOmniverseにより、物理ベースの可視化と環境要因のシミュレーションを実行できる。
これらの機能を組み合わせることで、開発チームは車載システムと環境の両方のデジタル・ツインを手に入れることができるため、実機完成よりもかなり早い段階から、組込みソフトウェアの開発、安全機能/自律性機能のテストと検証を開始することができる。シノプシスは、このソリューションに関して2024年後半から主要顧客との協業を開始し、2025年には一般提供を開始する予定である。
シノプシスについて
シノプシス(Nasdaq: SNPS)は、電子設計自動化からシリコンIP、システム検証ならびに妥当性確認に至る、信頼性の高い包括的なシリコン to システム設計ソリューションの提供により、広がりゆく知の時代を切り開いている。幅広い業界の半導体およびシステム開発企業との緊密な協業を通じて、その研究開発能力と生産性を最大限にまで高め、明日の創造力に火をつける今日のイノベーションに貢献している。
詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
TEL: 03-6746-3500