NVIDIA Grace Blackwellプラットフォーム上で実行速度が最大30倍向上、次世代半導体の回路シミュレーションが高速化
概要
*1 CPUベースのモデルとの比較
*2 NVIDIA NIM統合がない場合のSynopsys.ai Copilotとの比較
2025年3月18日 カリフォルニア州サニーベール発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、NVIDIA社との協業の次のフェーズを公表、NVIDIA Grace Blackwellプラットフォームを使用してチップ設計を最大30倍加速すると発表した。
シノプシスは、NVIDIA社主催の開発者会議 GTCにて、NVIDIA CUDA-Xライブラリを活用して、次世代半導体開発ソリューションを最適化していくこと、そしてNVIDIA Grace CPUアーキテクチャのサポートを拡大し2025年に15以上のシノプシス・ソリューションを同アーキテクチャ向けに最適化していくことを発表した。
シノプシス 社長兼CEO Sassine Ghaziは次のように述べている。「GTCでは、コンピューテーション集約型チップ設計ワークフローの開発に向けてNVIDIA Blackwellプラットフォームでシノプシス・ソリューションを最適化した際に、我々の先端ソリューション・ポートフォリオ全体で観察された最新のパフォーマンス結果を公開しました。シノプシスの技術は、シリコンからシステムまでの開発チームの生産性と能力向上にとって不可欠です。NVIDIA社のアクセラレーテッド・コンピューティング性能を活用することで、我々はお客様各社が新たなブレイクスルーを実現し、イノベーションを加速するお手伝いをします」
NVIDIA社の創業者でありCEOのJensen Huang氏は、次のように述べている。「チップ設計は、人類の歴史上最も複雑な開発課題の一つです。BlackwellとCUDA-Xを使用して、シノプシス社はシミュレーション時間を数日単位から数時間単位に短縮し、AI革命を支えるチップの設計を進化させています」
シノプシスとNVIDIA社は、電子設計自動化(EDA)ワークロードを加速するため複数年にわたって協業を継続している。シノプシスは、NVIDIA GB200 Grace Blackwell Superchipを始めとするNVIDIA社のアクセラレーテッド・コンピューティング・アーキテクチャをさらに適用して、回路シミュレーション、コンピューテーショナル・リソグラフィー・シミュレーション、テクノロジーCAD(TCAD)、フィジカル検証、材料工学などのワークフローに要する実行時間を大幅に削減することを目指している。具体的には下記のような点が挙げられる。
NVIDIA Grace Blackwellプラットフォーム上で、シノプシス PrimeSim™ SPICEによる回路シミュレーションを実行した場合、実行スピードが30倍高速化すると予測されている。現在、お客様各社ではNVIDIA GH200 Superchipsを利用して最大15倍のスピードアップを達成できる。NVIDIA社のアクセラレーテッド・コンピューティング・アーキテクチャは、難易度の高い回路のシミュレーションを可能にし、SPICE精度でのサインオフ検証の実行時間を数日単位から数時間単位に短縮する。
コンピューテーショナル・リソグラフィ・シミュレーション高速化で20年以上にわたる実績のあるシノプシスのProteus™は、先端プロセス・テクノロジ・ノードでの課題を解決するための光近接効果補正(OPC)ソフトウェアと逆リソグラフィー技術(ILT)を提供している。NVIDIA社の技術を活用し、シノプシスは、このコンピューテーション集約型の製造プロセスを革新する画期的な技術を提供している。現在、ProteusはNVIDIA H100 GPUに最適化され、NVIDIA cuLithoライブラリと統合されており、OPCのスピードを15倍に向上させている。NVIDIA Blackwellプラットフォームを活用することで、Proteusは、コンピューテーショナル・リソグラフィ・シミュレーションを最大20倍加速すると予想されている。
初期の結果では、GPU対応機能とNVIDIA CUDA-XライブラリをシノプシスのSentauras™ TCADプロセス/デバイス・シミュレーション・ソリューションに適用することで、シミュレーション結果までにかかる時間を最大10倍加速できると予測されている。このソリューションは現在開発中で、今年後半には提供開始できる予定である。
シノプシスのQuantumATK®は、半導体と材料の研究開発のための原子レベルのモデリング技術を提供している。NVIDIA HopperアーキテクチャのCUDA-Xライブラリを利用すると、結果までの時間を最大100倍高速化できるため、より効率的に広範囲わたる材料のシミュレーションと分析を行うことが可能になる。
シノプシスは、自社のソリューション・ポートフォリオ全体でNVIDIAプラットフォームが提供するアクセラレーテッド・コンピューティング性能の活用を継続していく計画である。
NVIDIA AIソフトウェアを活用したシノプシス・ソリューションの進化
シノプシスとNVIDIA社のチップ設計期間短縮への取り組みは、NVIDIA NIM推論マイクロサービスを使用した生成AIによるチップ設計の速度化にも及ぶ。
現在、シノプシスの生成AIアシスタント Synopsys.ai Copilotを使用しているお客様各社では、以前の方法と比べて平均2倍の生産性向上を実現している。NVIDIA NIMマイクロサービスの統合により、更に2倍*2のスピードアップが可能になり、より速く答えを得ることができると予想されている。
Grace CPUでシノプシスEDAを最適化
GTC 2025でのシノプシス情報について
シノプシスは、GTC 2025の設計/検証パビリオンで、3月18日から21日までデモンストレーションを行っている(ブース番号 222)。また、半導体製造と材料工学、AIによるチップ設計に関するセッションも行う。GTCでのシノプシスの詳細については、https://www.synopsys.com/events/nvidia-gtc.html より入手可能。
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