ニュースリリース - 2021年11月29日

シノプシスのAIエンジンを活用し、サムスン社が最新のモバイル向けSoCを開発

サムスン社の最先端プロセス・テクノロジで並外れた設計結果を達成。自律的チップ設計という新時代の到来を確固たるものにする大きな節目

 

概要

  • AIテクノロジを応用したシノプシスの画期的な設計システム(DSO.aiTM)が、サムスン社の最先端モバイル向けSoCで最高の動作性能と最小の消費電力を自律的に達成
  • サムスン社が、複数のチップ設計プロジェクトにDSO.aiを適用し、いずれもこれまでは達成不可能とされていた設計結果をこれまでより大幅に短い期間で実現

 

2021年11月29日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、AIテクノロジを応用したシノプシスの設計システムが、サムスン社の最先端プロセス・テクノロジ向けSoCで、これまでにない高いチップ性能を達成したことを発表した。最新鋭の複数デザインが、シノプシスのAIベース設計エンジンを用いて設計された。

 

シノプシス 会長兼共同CEO Aart de Geusは次のように述べている。「チップ設計を人手ではなく自律エンジンで行うなどということは、何十年もの間サイエンス・フィクションの世界の話でした。半導体開発の歴史に刻まれたこの重大な転換点は、ムーアの法則に新たな命を吹き込むものとなるでしょう。サムスン社がこの素晴らしい成果を達成されたことは、我々にとっても大きな喜びです。今回の同社の成功は、次なる1,000x(コンピューティング性能の1,000倍高速化)の到来を早めるものとなるでしょう」

 

AIテクノロジの活用で設計された今回のSoC製品は、サムスン社の最先端プロセスで製造される予定である。高性能/低消費電力のマーケット・ニーズにタイムリーに応えるため、サムスン社は、World Electronics Achievement Award(WEAA)を受賞したシノプシスのAIベースの自律設計システム DSO.ai(Design Space Optimization AI)を採用した。DSO.aiは、シノプシスのインプリメンテーション・プラットフォームであるFusion Compiler™を用いて設計を自律的に進めていく。DSO.aiは、自動走行車に使用されるものと同様のAIテクノロジである強化学習を実行しながら、より高性能/低消費電力/小面積を達成できる最適化ポイントを探索する。この探索はデザイン・インプリメンテーション工程のあらゆる段階で実行され、チップの動作性能をサムスン社の当初のSoC設計目標を凌駕する100MHz超へと押し上げ、全体的な消費電力を大幅に削減した。しかも同社は、従来の人手による設計作業と比較して、数週間も早くこれらの成果を達成した。サムスン社は、この自律設計テクノロジ開発の早期段階からシノプシスと協業を開始したパートナーであり、2020年の秋には同社の複数の設計プロジェクトでDSO.aiの活用を始めた。

 

サムスン・エレクトロニクス社 System LSI Business  Infrastructure & Design Technology Center 上級副社長 Thomas Cho氏は次のように語っている。「今回の成果は、シノプシス社との協業を通じてAIテクノロジをチップ設計の世界に組み込んでいくという当社の開発プログラムにとって記念すべき一里塚となりました。最も条件の厳しいプロセス・テクノロジで高性能/低消費電力/小面積の設計目標を達成するのにAIが有効であることを実証できただけではありません。極めて高い設計生産性を実現でき、常に驚くべき結果を出してくれる設計システムを、シノプシス社とのパートナー・シップを通じて確立できたのです」

 

チップ設計上の問題点を解決して最適な解を見つけるために膨大なデザイン・スペースを探索していくという作業に対して、DSO.aiは、最新のAIとマシンラーニングのテクノロジを活用した、これまでにない新しい手法を提供している。従来の設計手法では、この広大なスペースで解法を探るために膨大な労力が必要で、多くの場合数ヶ月もの試行錯誤を重ねる必要がある。また過去の経験値や門外不出の知識の力を借りねばならない場面もしばしばある。現代の非常に競争の激しいマーケットにおいて、より優れたSoCデザインを提供するということは、ソフトウェアのパフォーマンスを高速化でき、バッテリー駆動時間を延ばし、個別ニーズによりフィットしたユーザー体験を実現できるということを意味している。

 

Cambrian AI Research社の主席アナリスト Karl Freund氏は次のように語っている。「今回のブレイクスルーは、AIや強化学習によってフィジカル設計や論理設計をナビゲートしていくという旅の始まりといえるでしょう。その可能性は無限で、前途有望です。開発リソースを大幅に削減し、開発期間を短縮した上で、より優れた性能/消費電力/面積を実現することが可能となったのです」

 

DSO.aiは、AIテクノロジを活用しているため、より優れた最適化ポイントを求めてデザイン・スペースを“自律的に”探索することができる。半導体設計ワークフローの中で取り得る多岐にまたがる選択肢を大規模に探索し、必要となる意思決定を自動的に最小化する。DSO.aiは、AIグレードの生産性でアーキテクチャ・イノベーションの可能性を解き放ち、半導体業界を新たな成長の軌道に乗せる設計テクノロジである。DSO.aiが切り拓いたのは、これまでより1,000倍パワフルな半導体製品への道である。

 

DSO.aiの詳細はhttps://www.synopsys.com/implementation-and-signoff/ml-ai-design/dso-ai.htmlより入手可能。

 

シノプシスについて

Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、業界で最も広範囲をカバーしたアプリケーション・セキュリティ・テスティング・ソリューションならびにサービスを提供しているS&P 500カンパニーである。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、よりセキュアでハイ・クオリティなコードを開発しているソフトウェア開発者に、革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。

詳細情報は、https://www.synopsys.com/ja-jpより入手可能。

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<お問い合わせ先>

 

日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充

TEL: 03-6746-3940