オンライン・アクセスできるオープンソースのデバイス・ドライバ、OS、ミドルウェアにより、 ARCプロセッサ・ベース・システム向けのソフトウェア開発環境を拡充
概要
2015年2月26日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – 半導体やエレクトロニクス・システムのイノベーションを加速させる開発用ソフトウェア、IP、技術サービスの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、DesignWare ARC プロセッサ・ベースの組込みシステムの開発期間短縮を支援する embARC Open Software Platform を立ち上げたと発表した。これにより、ARCベース・システム向けのソフトウェア開発者は、IoT 機器やその他の組込み機器に搭載するソフトウェア・コードの開発負担を軽減するために、無償かつオープンソースで提供される包括的なソフトウェア群へのオンライン・アクセスが可能となる。開発者は、ARC プロセッサにポーティング/最適化された各種デバイス・ドライバ、OS、ミドルウェアをembARC.org サイトから無償でダウンロードできる。また同サイト上では、各種ソフトウェア開発ツール、ドキュメント、そしてユーザー・フォーラムにアクセスでき、ARC ベース・システム開発コミュニティ内での情報交換や専門技術情報の共有を行うことができる。
Wittenstein High Integrity Systems 社 ビジネス開発担当マネージャ Andrew Longhurst 氏は次のように述べている。「embARC Open Software Platform で、業界で幅広く使われているオープンソースのFreeRTOS が活用できるようになることを喜ばしく思っています。当社は、FreeRTOS のサポート・サービス付きバージョンを有償でご提供していますが、embARC を通じて、ソフトウェア開発者は、必要に応じて専門家のサポートやメンテナンス、アップデートを受けることができるRTOS への移行が容易になります」
ドライバ、オペレーティング・システム、ミドルウェア
embARC Open Software Platform では、FreeRTOS やContiki OS などの先進のリアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)や、GPIO/UART/SPI/I2C その他のペリフェラルにポーティング済みのドライバが提供されているため、ソフトウェア開発者は、ARC ベース・システム向けの業界標準のソフトウェア開発環境を活用できるようになる。FreeRTOS は、多くの組込みソフトウェア開発者に支持されているRTOS で、コンパクトで拡張性と信頼性の高さに定評がある。Contiki OS は、低消費電力のワイヤレスIoT機器のようなメモリー制約の大きいネットワーク・アプリケーション向けのRTOS である。
embARC で提供される各種アプリケーション・ミドルウェアの活用により、開発者は、IoT 関連機器の開発開始に向けた強力な足がかりを手にすることになる。FreeRTOS 向けコンポーネントとしては、LwIP TCP/IP スタック、fatfs ファイルシステム、MQTT とlibcoap IoT 向けプロトコルを提供している。Contiki OS については、MQTT や、軽量なM2M 通信向けのpublish/subscribe モデル型プロトコル、リソースがタイトなIoT 機器向けのCoAP アプリケーション・レイヤ・プロトコルなどのIoTプロトコル・スタックを組み込んだミドルウェア・パッケージを提供している。
Real Time Engineers 社 ディレクタ Richard Barry 氏は次のように述べている。「FreeRTOS は、プロフェッショナル志向の開発思想とサポート体制を持つにも関わらず完全無料で提供されており、ソフトウェア開発者は、自社開発のソースコードを外部に公開することなく製品に組み込むことができます。組込み機器向けRTOS として高く評価されているFreeRTOS が、シノプシス社のembARC Platform で提供されることは非常に素晴らしいことです。embARC によって、ARCユーザーは、使い易くて高い信頼性が実証済みのFreeRTOS を活用して成果を上げてきた世界数十万人のソフトウェア開発者の仲間入りをする道が開けました」
embARC.org
embARC.org は、embARC Open Software Platform 上で提供されている各種オープンソース・ソフトウェア、ドライバ、OSそしてミドルウェアにアクセスするための専門サイトである。サイトでは、各種ドキュメントも公開されているほか、フォーラム形式のコミュニティ・サイトもあり、ソフトウェア開発者は自身の開発資産や専門知識、ソフトウェア・コードなどを共有し合うことによってARC プロセッサ・ベース・システムの開発期間短縮に役立てることができる。
フリーのソフトウェア開発ツールや、高機能なソフトウェア開発ツールの活用
Eclipse IDE ならびにGNU 上に構築されているフリーのソフトウェア開発ツール群も、embARC Open Software Platform と併用することができるため、ソフトウェア開発者は、組込みシステム開発で使い慣れたIDE、コンパイラ、デバッガ、その他のユーティリティを利用してソフトウェア開発環境を柔軟に構築できる。また、シノプシスがライセンス提供しているARC MetaWare Development Toolkit も、embARC が提供しているコンポーネントをサポートしているため、非常に大規模なコード量や最高レベルのパフォーマンスを実現すべく高度に最適化されたツール・チェーンを活用するという手段をとることもできる。
embARC Open Software Platform が提供するコンポーネントは、DesignWare ARC EM プロセッサがあらかじめインプリメントされているFPGAとペリフェラルを搭載した低コストなソフトウェア開発ボードとソフトウェア・パッケージで構成されているARC EM Starter Kit にもポーティングされている。このStarter Kit を活用すれば、ARC EM4、EM6、EM5D、EM7D プロセッサ向けソフトウェアの開発、コード・ポーティング、デバッグ、プロファイリングを迅速に実行することができる。
シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「embARC Open Software Platform は、IoT 機器やその他の組込み機器向で幅広く活用されているオープンソースのソフトウェア、OS、ミドルウェアを取り揃え、どなたでもアクセスできる包括的なソフトウェア開発環境をご提供しています。ソフトウェア開発者が、開発リスクや開発コストを抑えつつ、より短期間でARC ベース・システムを市場投入できるよう、エコシステムを強化しました」
提供可能時期
embARC Open Software Platformは、www.embarc.org にて既に利用可能である。ARC EM Starter Kit ならびにMetaWare Development Toolkit も下記URLより利用できる。
DesignWare IPについて
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、デジタル・コントローラIP/PHY/次世代検証用IP からなる完全なインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、アナログIP、組込みメモリー、ロジック・ライブラリ、プロセッサ・コアならびにサブシステムで構成されている。短期間でのプロトタイプ開発、ソフトウェア開発、SoC へのIP 統合を可能にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP ソフトウェア開発キット、カスタマイズ済みIP サブシステムを提供している。シノプシスのIP ソリューションは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。 詳細情報は http://www.synopsys.com/designware より入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc. (Nasdaq上場コード:SNPS) は、グローバル・エレクトロニクス・マーケットでテクノロジ・イノベーションを展開している。そのソフトウェア製品、IP、技術サービスは、エンジニアが直面する設計/検証/システム開発/製造の課題の解決を支援しており、シノプシスは電子設計自動化 (EDA) ならびに設計資産 (IP) のリーディング・カンパニーとなっている。1986年の創業以来、世界中のエンジニアがシノプシスのテクノロジを使用して、何十億もの半導体やシステム機器を設計開発している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。
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