ハードウェアとソフトウェアの開発やOS立ち上げにかかる期間を短縮、SoC検証スピードを4倍に向上、
最も大規模なデザインであっても開発期間を短縮できるZeBu Server-3
概要
2014年2月25日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - 半導体やエレクトロニクス・システムのイノベーションを加速させる開発用ソフトウェア、IP、技術サービスの世界的リーダーであるシノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、業界最速のエミュレーション・システム ZeBu Server-3の提供を開始すると発表した。ZeBu Server-3は、実績豊富なZeBu Serverアーキテクチャをベースに開発されており、実行スピードは最大4倍、デザイン実装容量は3倍向上している。こうした高い性能により、SoC開発チームは、ハードウェアとソフトウェアの開発、OSの立ち上げ、フルチップ検証にかかる期間を短縮し、製品をより早期に市場投入できるようになる。
包括的なデバッグ機能、デザイン実装自動化ソフトウェア、業界をリードする検証ツールならびにシステムレベル・ツール・フローとの緊密な統合環境により、ZeBu Server-3は、複雑なSoCの検証に求められる非常に生産性の高い開発環境を提供する。ZeBu Server-3は、パワー考慮のエミュレーション、シミュレーション・アクセラレーション、インサーキット・エミュレーション(ICE)、合成可能なテストベンチの実行、トランザクション・ベース検証(TBV)、ハイブリッド・エミュレーションといった様々な検証モードを提供しているため、さまざまな開発プロジェクトのニーズに応じて柔軟に運用することができる。設置面積が小さく、軽量で、通常の供給電力/冷却設備で使用でき、高い信頼性を提供できるため、市販の他のエミュレータに比べて投資・運用コストを削減できる。28nmプロセスの大規模FPGAを用いた拡張性の高いアーキテクチャを持っているため、30億ゲートのデザインを実装できる業界最大容量を提供している。
AMD社 クライアントSOCデザイン コーポレート・バイス・プレジデント Charles Matar氏は次のように語っている。「最先端のマルチコア・サブシステム・デザインの検証では、膨大な量のソフトウェアを実行する必要があり、製品化までに数十数百億サイクルものテストを行うことになります。当社では、次世代CPUサブシステムの検証にZeBu Server-3を活用しています。ZeBuが提供してくれる業界最高レベルの性能によって、検証時間を激減させることができるからです。しかも、投資・運用コストを低く抑えることができるので、より大規模な検証環境を構築する必要に迫られた場合にも容易にシステム拡張できます」
フリースケール・セミコンダクター社 デジタル・ネットワーキング・ビジネス部門 ソフトウェア&ソリューション・テクノロジ担当副社長 Raja Tabet 氏は次のように語っている。「革命的なLayerscapeTMアーキテクチャを持つ当社のQorIQ®ネットワーキングSoCは、スタンダード・ベースのオープン・プログラム・モデルとソフトウェア・アウェア・アーキテクチャ・フレームワークを基に開発されているため、お客様各社では、ハードウェアの基本性能を最大限に引き出すことができます。このソフトウェア・フレームワークを開発・検証するには、数メガHzの実行性能が必要です。このレベルのクロック性能を提供してくれるのが、シノプシス社のZeBu Server-3エミュレーション・システムなのです。ZeBuが持つ豊富なトランザクタ・モデル、そして当社のように長いテスト・シナリオのデバッグを行うのに欠かせないVerdi3との統合環境によって、当社では短期間でのソフトウェア開発とバリデーションが可能になっています」
全ての信号を可視化できる包括的なデバッグ機能
ZeBu Server-3は、信号の完全可視化、デターミニスティックな再実行、数十万サイクルのシステムレベル・テスト・シーケンスのデバッグなどのデバッグ機能をシミュレーション・ライクに実行できる環境を提供する。ZeBuをシノプシスのデバッグ・システムVerdi3と組み合わせて使うことにより、短時間で波形を分析し、トランザクションレベル・デバッグを実行し、今までのシミュレーション環境で使い慣れた強力なデバッグ環境をそのまま活用できる。また、ZeBuのインタラクティブなCombinatorial Signal Access (iCSA)により、ユーザーは、一般的なエミュレーション波形ジェネレータでかかっていたデバッグ開始までの数時間を、Verdi3の完全可視化機能により数分に短縮できるようになる。さらに、ZeBuのPost Run Debugモードによって、比較的短いロジック・アナライザ・トレース・ウィンドウという制約から解放され、あらゆるシナリオを、それがたとえ数十億サイクルものテスト・シナリオであったとしても、デザインを再コンパイルすることなくデターミニスティックに再実行/分析できる。
最先端の検証モード
ZeBu Server-3は、パワーマネージメント検証、シミュレーション・アクセラレーション、インサーキット・エミュレーション(ICE)、合成可能なテストベンチの実行、トランザクション・ベース検証(TBV)、バーチャル・プロトタイプと連携したハイブリッド・エミュレーションといった幅広いタイプの検証モードを提供しているため、チップ開発プロジェクトを構成する各チームは、それぞれの必要性に応じて柔軟な検証手法を柔軟に活用できる。
ZeBuはIEEE 1801のUnified Power Format(UPF)をサポートしているため、低消費電力の要求が厳しいチップの検証の際、最先端ローパワー・デザインのモデリングとVerdi3環境下でのパワー・アウェア波形ビューを活用できる。また、スイッチング・アクティビティも出力できるため、シノプシスのPrimeTime PXのようなツールを使ったダイナミック・パワー解析も実行できる。
ZeBu Server-3は、SystemC TLM 2.0トランザクタを通じて、シノプシスのPlatform ArchitectやVirtualizerなどのツールで構築したバーチャル・プロトタイプと接続したハイブリッド・エミュレーションの実行を可能にしている。これによって、システム・アーキテクトやソフトウェア開発者は、アーキテクチャの最適化や実チップ入手前段階での早期ソフトウェア開発が行えるようになる。ハイブリッド・エミュレーションの活用により、バーチャル・プロトタイプ上の高位抽象度のプロセッサ・モデルとZeBuに実装されたRTLデザインを用いて、全てのパーツがそろった高速実行環境下でソフトウェア開発を数週間から数ヶ月早く開始することができるのである。
現在、多くの開発チームが、ホスト・コンピュータ上のバーチャル・テスト環境とリンクしたZeBuエミュレーションでTBVを行っている。高帯域でローレイテンシのトランザクタと、ホスト-エミュレータ間の高速接続により、ZeBu Server-3は、ホスト上の検証環境とインタラクティブなやり取りを行いつつフルスピードでのSoC検証を実行できる。トランザクションレベル検証環境は、ZeBuが提供している幅広いトランザクタ・モデル・ライブラリ、プロトコル・アナライザ、バーチャル・デバイス、バーチャル・スピード・アダプタ、コンパイル済みメモリーモデルによって短期間で構築できる。カスタム・バスやインターフェイスを持つデザインに対しては、ZeBu ZEMI-3のトランザクタ向けビヘイビアSystemVerilogコンパイラで、サイクル精度のトランザクタを簡単に作成でき、高位抽象度のC++やSystemVerilogテストベンチとのやり取りが可能になる。
投資・運用コストを削減する最新のアーキテクチャ
エミュレータの実行性能、デザイン実装容量、信頼性、電力効率は、検証対象のデザインの実装のために搭載しているチップの容量に大きく依存する。搭載するチップの容量が大きければ、デザインをより高速に実行でき、デザインの分割もゲート当たりの消費電力も削減できる。ZeBuファミリーはこれまで、新機種に移行するたびに、その時点で最先端のプロセス・ノードで開発されたFPGAを採用し、急拡大する実装容量のメリットを活用してきた。最新機種となるZeBu Server-3も、この方針を継続しており、現時点で利用可能な最大規模のFPGAデバイスの一つであるザイリンクス社のVirtex-7 XC7V2000Tを採用している。 Virtex-7 XC7V2000Tは、28nm Stacked Silicon Interconnect(SSI)テクノロジを採用している。
実際にエミュレータを使用し始めると、当初の導入コストから更に投資金額がかさんでくる傾向にある。ZeBu Server-3は、一般的な施設内で使用できるようにするためコンパクトなサイズで消費電力効率の高いハードウェアとなっており、施設内にある他の機器が要求する以上の電力供給、冷却設備、耐荷重性は必要ない。例えば、3億ゲートの実装容量を持つZeBu Server-3システムの場合、設置面積はわずか50cm2、消費電力は最大でも2.5キロワット、重量は70kgにすぎず、同等の容量を持つ他のエミュレータよりも格段に小さく低消費電力である。従って、既存の施設の供給電力と冷却設備で使用でき、コストのかかる工事やスペース拡張は必要ない。
シノプシス ベリフィケーション・グループ 上級副社長兼ジェネラルマネージャー Manoj Gandhiは、次のように述べている。「最先端のSoCの検証を遂行するには様々なテクノロジの蓄積が不可欠で、それによって実行性能やより高度な統合環境に対する高まり続ける設計者の要求に応えていかなければなりません。当社では、SoC設計者の開発期間短縮を支援するという当社戦略の一環として、エミュレーション技術に対する大規模な投資を続けてまいりました。VerdiやVCS、検証用IPソリューション、更にはPlatform ArchitectやVirtualizer、HAPSといったシステムレベル・ソリューションなど、当社が持つ次世代の検証テクノロジとの統合も進めています」
シノプシスについて
Synopsys, Inc. (Nasdaq上場コード:SNPS) は、グローバル・エレクトロニクス・マーケットでテクノロジ・イノベーションを展開している。そのソフトウェア製品、IP、技術サービスは、エンジニアが直面する設計/検証/システム開発/製造の課題の解決を支援しており、シノプシスは電子設計自動化 (EDA) ならびに設計資産 (IP) のリーディング・カンパニーとなっている。1986年の創業以来、世界中のエンジニアがシノプシスのテクノロジを使用して、何十億もの半導体やシステム機器を設計開発している。詳細な情報は、http://www.synopsys.co.jpより入手可能。
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