超低消費電力で高速な物体検知機能を提供するDesignWare EVプロセッサ・ファミリー
概要
2015年3月30日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、ビジョン・プロセッサIP の最初の製品となるDesignWare EV Family の提供を開始すると発表した。EV52 ならびにEV54 は、完全プログラマブル/コンフィギュラブルなビジョン・プロセッサ・コアで、低コスト・低消費電力なハードウェアとソフトウェア開発環境を組み合わせた柔軟なソリューションを提供する。EV プロセッサには、1ワットあたり1,000 GOPS 以上ものスピードで動作する畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN:convolutional neural network)が組み込まれているため、他のビジョン・プロセッサ・ソリューションと比べてごく僅かな消費電力で、顔認識、歩行者認識、手振り認識といった幅広い対象物を正確かつ瞬時に捉えることができる。また、シノプシスが提供しているMetaWare Development Toolkit だけでなく、OpenCV やOpenVX などの最新エンベデッド・ビジョン規格に準拠した包括的なプログラミング環境もEV プロセッサ・ファミリーをサポートしているため、アプリケーション・ソフトウェアの開発スピードを高めることができる。ビジョン・データ・プロセッシング向けに最適化された高性能なハードウェアと高効率なプログラミング・ツールの組み合わせにより、EV プロセッサ・ファミリーは、動画監視、動作認識、物体検知などの幅広いエンベデッド・ビジョン・システムにとって理想的なソリューションとなっている。
Embedded Vision Alliance の創立者 Jeff Bier 氏は次のように語っている。「画像情報から意味のある情報を抽出する機能は、セキュリティ機器、ゲーム機、自動車を始めとする様々な製品にとって、ますます重要な要素となっています。そのため、より高性能で消費電力の低いビジョン・プロセッシング能力が求められているのです。シノプシス社のDesignWare EV ファミリーのような特定用途プロセッサを活用することにより、開発者は、開発対象のビジョン・アプリケーションに必要なパフォーマンスを、ポータブル・デバイスに最適なレベルの消費電力で達成することができるようになります」
高性能マルチコア・ハードウェア
EV ファミリーは、28nmプロセスで1 GHz の性能を発揮する高性能コアを複数搭載している。また、フィード・フォワードCNNを組み込んでいるため、ビジョン・プロセッシングで非常に重要なタスクとなる物体検知を高速かつ高精度に実行できる。プロセッサの実行ユニットはコンフィギュレーション可能なため、開発者は、ビジョン・アプリケーションで一般的なタスクレベルあるいはデータレベルのパラレル実行を有効活用することにより、市販の他のビジョン・プロセッサと比べてわずか1/5 の消費電力で、複雑な画像/動画認識アルゴリズムを実行することができる。
高効率なプログラミング・ツール
OpenCV ならびにOpenVX ライブラリや、シノプシスのMetaWare Development Toolkit といった完全なソフトウェア・プログラミング環境が提供されているため、EV プロセッサ・ファミリー向けのアプリケーション・ソフトウェア開発を効率的に進めることができる。EV プロセッサがサポートしているOpenCV ライブラリは、リアルタイム・コンピュータ・ビジョンに必要な2,500以上の関数を提供している。プロセッサは、プログラマブルであり、開発者が指定するいかなる物体検知パターンにも対応できる。エッジ検出、イメージピラミッド、オプティカル・フローを始めとする、EV プロセッサ上での実行に最適化された43 のコンピュータ・ビジョン標準カーネルを持つOpenVX フレームワークも提供されている。また、新たなOpenVXカーネルも定義できるため、開発対象のビジョン・アプリケーションや将来の物体検知ニーズにも柔軟に対処できる。 OpenVX で提供されるランタイムはEV プロセッサ内で構成される各ユニットで実行可能なため、プロセッサのプログラミングも効率的に行える。リファレンス・デザインとともに提供される包括的な開発ツールとライブラリを活用することにより、開発者は、対象のエンベデッド・ビジョン・システムの構築/デバッグ/プロファイリング/最適化を効率的に進めることができる。
容易なSoC 統合
EV プロセッサは、SoC に容易に統合できることを前提に開発されており、あらゆるホスト・プロセッサと併用ならびに並列実行できる。また、データ通信や割り込み処理の間もホスト・プロセッサとの同期を維持できる。さらに、EV プロセッサのメモリーマップは、ホスト・プロセッサにアクセスできる。これらによりホスト・プロセッサは、ビジョン・データ・プロセッシングに関わるあらゆるタスクをEV プロセッサに任せた上でシステム制御できるため、消費電力を抑えつつ、処理速度を向上できる。EV プロセッサは、SoC のオンチップ・メモリーにマッピングされたエリアに格納されているイメージ・データにもアクセスでき、場合によっては、ホスト・プロセッサから隔離されてチップ外に格納されたデータにもARM® AMBA® AXI TMインターコネクト経由でアクセスできる。
シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「エンベデッド・ビジョンは、監視装置からコンシューマ製品、ゲーム機にいたるまで非常に幅広い機器に技術革新をもたらしています。DesignWare EV プロセッサ・ファミリーは、業界で群を抜く物体検出精度をこれまでの1/5 の消費電力で可能にするだけでなく、幅広いビジョン・ライブラリと堅牢なソフトウェア・プログラミング環境もご提供します。これらにより、開発者の皆様は、エンベデッド・ビジョン機能を、より多くのシステムに、より早く、そしてこれまでの開発ソリューションと比べて遥かに低い消費電力で搭載することが可能となります」
提供可能時期
DesignWare EV52 ならびに54 プロセッサは、2015 年5 月の提供開始を予定している。シノプシスのエンベデッド・ビジョン・プロセッサについての詳細はhttp://www.synopsys.com/dw/ipdir.php?ds=ev52-ev54 より入手可能。
DesignWare IP について
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、デジタル・コントローラIP/PHY/次世代検証用IPからなる完全なインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP 向けソフトウェアの開発キット、IP サブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttp://www.synopsys.com/designware より入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発している先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・テストの分野でもCoverityソリューションで業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。
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