高い精度が必要な動画処理アプリケーション向けに、スカラー / ベクター・プロセッサと 畳み込みニューラル・ネットワーク・エンジンを組み込んだDesignWare EV6x プロセッサ・ファミリー
概要
2016年6月1日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 – シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、高解像度対応が求められるエンベデッド・ビジョン・アプリケーション向けに最適化された次世代プロセッサ・コア DesignWare DesignWare® EV6x family を発表した。この最新のビジョン・プロセッサ・ファミリー EV61/EV62/EV64 に搭載するプロセッサは、それぞれシングル・コア、2 コア、4 コアの構成で、完全にプログラマブル / コンフィギュラブルなアーキテクチャを持っており、プログラマブルな畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)エンジンも搭載できる。CNN エンジンは、ビジョン・プロセッサと並列動作して、既存のビジョン・プロセッサと比べ数分の一の消費電力で、非常に高精度な物体検知/画像分類/物体領域認識の能力を提供する。また、シノプシスが提供しているMetaWare Development Toolkit だけでなく、OpenCLTM C やOpenVXTMなどの最新エンベデッド・ビジョン規格に準拠した包括的なソフトウェア・プログラミング環境もEV プロセッサ・ファミリーをサポートしているため、アプリケーション・ソフトウェアの開発スピードを高めることができる。高性能なビジョン・プロセッサとCNN エンジン、生産性の高いプログラミング環境を持つEV6x は、先進運転システム(ADAS)、動画監視、仮想/拡張現実、自己位置と地図の同時推定(SLAM:simultaneous localization and mapping)といった幅広いエンベデッド・ビジョン・システム開発にとって理想的なプロセッサ・ファミリーである。
EV6x プロセッサ・ファミリーは、1~4つの高性能ビジョン・プロセッサ・コアで構成されるヘテロジニアスなマルチコア・アーキテクチャを持っている。それぞれのプロセッサ・コアには、32 ビットのスカラー・ユニットと512 ビットのワイド・ベクターDSP が組み込まれており、8/16/32 ビット動作にコンフィギュレーションすることができる。最大の4 コア構成の場合、スキャッタ・ギャザー機能や条件付き実行制御機能も含めて620GOPS/秒の動作性能を提供する。さらに、EV6x プロセッサは、最大800 MAC/cycle まで処理性能を拡張できるCNN エンジンをオプションで組み合わせることができ、最大4k ピクセルの解像度に対応できる。各種タスクをCNN エンジンと並列処理で実行できるため、複数のカメラとビジョン・アルゴリズムが同時に動作しなければならない自動運転やドローンのように高い処理効率が要求されるシステムにも対応できる。
Irida Labs
社 CTO Nikos Fragoulis 氏は次のように語っている。「エンベデッド・ビジョンは、車載システムや工業機器、コンシューマ製品などに搭載する多くの新しいデバイスの心臓部とも言うべき技術です。そのソフトウェア開発を迅速に行うことが、エンベデッド・ビジョンのエコシステムにとっては非常に重要です。当社は、最先端のエンベデッド・ビジョン・ソフトウェアや、シノプシス社のEVプロセッサ向けのOpenVX ランタイムの提供を通じて、システム開発者の皆様が、開発対象に最適な高度に統合されたソリューションをより短期間で容易に導入できるよう支援しています」
MulticoreWare
社 社長兼CEO AGK Karunakaran 氏は次のように語っている。「シノプシス社のDesignWare EV6x プロセッサのおかげで、組込みシステム開発業界では、信頼性の高いビジョン機能を短期間で実装することができるようになります。シノプシスのディープ・ニューラル・ネットワーク・エンジンは、高度に最適化されたCNN グラフをサポートしているため、ユーザーは、高精度なリアルタイム確認/認識機能が要求されるさまざまな低消費電力・高性能アプリケーションにビジョン機能を組み込むことができます」
OpenCV ならびにOpenVX ライブラリ、そしてOpenVX ランタイム、OpenCL C ベクター化コンパイラを持つシノプシスのMetaWare Development Toolkit などからなる完全なソフトウェア・プログラミング環境により、DesignWare EV6x プロセッサ・ファミリー向けアプリケーション・ソフトウェアの開発をスピードアップすることができる。OpenVX フレームワークにより、スカラー / ベクターDSP やCNN 実行ユニットに対するタイル・カーネル・コードの実行を自動分散できるため、EV6x プロセッサ向けのプログラミングを単純化できる。このフレームワークは、EV6x プロセッサ上での実行に最適化された43 のコンピュータ・ビジョン標準カーネルを持っている。また、ユーザーは独自のカーネルを作成することもできるため、開発中のビジョン・アプリケーションに合わせて、あるいは今後のアプリケーション開発の際にも柔軟に対応できる。EV6x プロセッサ・ファミリー向けにOpenCV ビジョン関数ライブラリもポーティング済みである。MetaWare OpenCL C コンパイラは、データレベル並列化のために全ての関数を自動的にベクター化する機能も提供しているため、ベクターDSP 用カーネルの作成も容易である。このコンパイラは、512 ビット・ワイド・ベクターDSP 向けプログラミングもサポートしているため、プログラミング作業を大幅に単純化できる。また、CNN 専用プログラミング・ツールキットにより、抽象度の高いCNN グラフをCNN エンジンに自動マッピングできる。さらに、シノプシスのFPGA ベース・ハードウェア・プロトタイピング・システム HAPS®を活用すれば、開発したデザインのバリデーションやソフトウェア開発の早期開始、実機I/O と同等のat-speed での動作確認、ユーザーシステムに組み込んだEV6x プロセッサ上でのプログラム・コードのデバッグも実行できる。リファレンス・デザインとともに提供される包括的な開発ツールとライブラリを活用することにより、開発者は、対象のエンベデッド・ビジョン・システムの構築 / デバッグ / プロファイリング / 最適化を効率的に進めることができる。
EV6x プロセッサ・ファミリーはコンフィギュラブル・アーキテクチャとなっているため、スタンドアロン・システムであれホスト・プロセッサとの並列動作システムであれ、あらゆる種類のビジョン・プロセシングに対応できる。EV6x プロセッサに組み込まれたビジョン・プロセッサ・コアとCNN エンジンは、ローレイテンシの内部共有メモリーを使って通信を行い、メモリー部分はホスト・プロセッサに対して可視化される。さらにプログラマーは、同期化信号を使って、ホスト・プロセッサによるEV6x プロセッサの制御を完全制御から自動実行まで必要に応じて自在に設定できる。またビジョン・プロセッサ・コアは、AXITMバス・インターフェイスに接続できるため、ホスト・プロセッサやSoC 上の他のブロックとの高速通信が可能で、フレームデータにも高速でアクセスできる。EV6x プロセッサ内部のビジョン・スペシフィック・ストリーミング転送ユニットのフレーム・バッファへのバックグラウンド通信により、フレーム解析実行中に次のフレームへのアクセスを効率的に実行できる。EV6x プロセッサは、SoC のオンチップ・メモリーにマッピングされたエリアに格納されているイメージ・データにもアクセスでき、場合によっては、ホスト・プロセッサから隔離されてチップ外に格納されたデータにもAXI インターコネクト経由でアクセスできる。
シノプシス IP&プロトタイピング マーケティング担当副社長 John Koeter は次のように述べている。「ADAS や動画監視、仮想現実などのビジョン・システムは、高い精度と信頼性そして高速性能を兼ね備えている必要がありますが、これを組込みシステムにつき物の消費電力制約のもとに実現するのは非常に困難な作業です。最新のEV6x を加えたエンベデッド・ビジョン・プロセッサ・ファミリーと、生産性の高いソフトウェア・プログラミング・ツールの提供により、組込みシステム開発者の皆様は、製品差別化に必要な性能と低消費電力を両立させたインテリジェントな最先端のビジョン機能を短期間でシステムに実装することができるようになります」
提供開始時期
DesignWare EV61、62 ならびに64 プロセッサは、2016 年10 月の提供開始を予定している。MetaWare Development ToolkitならびにEV SDK Option(OpenCVライブラリ、OpenVXランタイム・フレームワーク、OpenCL C compiler)は、2016 年6 月の提供開始を予定している。詳細は、https://www.synopsys.com/dw/ipdir.php?ds=ev6x-vision-processorsより入手可能。
DesignWare IP について
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIP のリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP 群は、、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線/無線インターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Accelerated イニシャティブは、IP プロトタイピング・キット、IP 向けソフトウェアの開発キット、IP サブシステムを提供している。DesignWare IP は、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに 提供されているため、設計者は、IP のSoC への統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報は、http://www.synopsys.com/designware より入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15 位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。
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Synopsysは、Synopsys, Inc.の登録商標です。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
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