DSP機能搭載で、信号処理性能を従来製品比2倍に高速化するDesignWare ARC HS4xファミリー
概要
Dual-issueアーキテクチャのARC® HS4xならびにHS4xDが、ARC HS3xファミリー比でRISC性能を25%向上。ワイヤレス・ベースバンド、音声/会話、ミッドレンジ・オーディオ再生、組込みDSPなどのアプリケーションでの信号処理を低消費電力でありながら2倍に高速化。
150超のDSP命令を実行できるARCv2DSPインストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)の命令実行をさらに拡張できるARC HS4xDプロセッサにより、信号処理アルゴリズムが高速化。
ARCプロセッサ向けプログラム開発を容易にし、Dual-issueアーキテクチャならびにDSPハードウェアのサポートを強化したMetaWare Development Toolkitにより、最小限のコード量で最大限の性能が実現。
より高速な処理性能の要請に応じ、最大4コアまでコンフィギュレーション可能。L1コヒーレンシとL2キャッシュをサポート。
2017年5月23日 カリフォルニア州マウンテンビュー発 - シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、高性能組込みアプリケーション向けの新しいプロセッサ・ファミリー DesignWare® ARC HS4xならびにHS4xDを発表した。ARC HS44、HS46、HS48、HS45D、HS47Dは、それぞれシングル/デュアル/クワッド・コアのコンフィギュレーションが可能で、1コアあたり6,000DMIPSの命令実行が可能なDual-issueスーパースカラー・アーキテクチャを搭載しており、多数の採用実績を持つARC HS familyの最上位機種となる。HS45D、HS47Dは、150超のDSP命令を実行でき、処理性能が2倍に向上、高性能な制御機能と高効率な信号処理機能の両立を実現している。MetaWare Development Toolkitも、こうした最新ハードウェア特性を最大限に活かし、ソフトウェア開発を容易化するため、Dual-issueパイプライン・サポート、豊富なDSPソフトウェア・ライブラリ、最適化済みC/C++コンパイラなどが強化されている。ARC HS4xならびにHS4xDプロセッサは、SSD(solid state drive)、ワイヤレス・ベースバンド、ワイヤレス制御機構、ホームネットワーク、制御系やインフォテイメント向け車載システム、多チャンネル・ホーム・オーディオ、最先端HMI(human-machine interface)、インダストリアル制御機器、ホーム・オートメーションといった幅広いハイエンド組込みアプリケーションに求められる高性能/低消費電力/小面積を満たすべく開発されたプロセッサ・ファミリーである。
Starblaze社 CEO Sky Shen氏は次のように語っている。「当社の開発陣は、急速に進化するエンタープライズ・マーケットで求められるより高性能なSSDコントローラを実現するため過酷な開発課題にさらされ続けています。シノプシス社のARC HS4xならびにHS4xDプロセッサを活用することにより、消費電力と面積を抑えつつ、新しい次元の性能を実現することが可能となります。これは、当社の製品開発にとって非常に重要なことです。さらに、ARCベース開発ツールやエコシステムが提供するソリューションにより、当社のソフトウェア開発工程やプロジェクト・スケジュールを短縮することもできます」
Linley Group社 主席アナリスト Linley Gwennap氏は次のように語っている。「組込みアプリケーションが激増する中、求められているのは高速なRISC命令実行機能と低消費電力な信号処理機能の組み合わせです。独自のスーパースカラー・アーキテクチャとDSPハードウェアを搭載したシノプシス社の新しいHS4xDプロセッサを用いることにより、設計者は、CPUとDSPを個別実装しなくてもよいという選択肢を手にすることができるため、消費電力と面積を抑制することができます」
ハイエンドな制御機能と組込みLinux機能を実現するDual-issue HS4xファミリー
ARC HS44、HS46、HS48プロセッサは、ARCv2インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)に基づいて開発されており、消費電力とシリコン面積を抑えつつ高性能な組込みデザインを実現することができる。ARC HS4xファミリーには、命令のアウトオブオーダー実行が可能な10ステージ/ Dual-issueパイプラインが搭載されているため、プロセッサのアイドリング・サイクルを最小化して命令実行のスループットを最大化することができる。各プロセッサは、2.5 GHzで1コアあたり最大6,000DMIPSの命令実行が可能で、16nm FinFE0054プロセスの場合、シリコン面積はわずか0.06mm2、電力は37ミリワット/MHzしか消費しない。命令実行の分岐予測の精度が高く、論理演算ユニット(ALU)がレイト・ステージであるため、データのロードから使用までのレイテンシを削減して命令実行プロセスを効率化することができる。また、ARC HS4xファミリーは、シングル/デュアル/クワッド・コアのコンフィギュレーションが可能で、クラスターあたり最大24,000DMIPSで命令を実行できる。HS46ならびにHS48は、命令/データ・キャッシュ(それぞれ最大64KB)とフルL1キャッシュ・コヒーレンシをサポートしている、HS48は、最大8メガバイトのL2キャッシュと、対称型マルチ・プロセシング(SMP)Linuxをサポートできるフル機能メモリー管理ユニット(MMU)も搭載している。既存のすべてのARCプロセッサ同様、HS4xプロセッサもコンフィギュラビリティが高く、ARC Processor Extension(APEX)テクノロジを搭載しているため、ターゲット・アプリケーションに合わせて所望の性能/消費電力/面積を達成するためカスタム命令を追加することもできる。
高効率のDSP機能を提供するHS4xDファミリー
HS45DならびにHS47Dプロセッサは、同格のHS4xプロセッサと同等のハイエンド制御機能に加えて、ベースバンド、オーディオ、音声/会話、その他の信号処理アプリケーションのためのDSP機能を提供する。また設計者は、整数除算器、64ビット乗算命令、積和演算、ベクター加算、ベクター減算、IEEE 754準拠のコンフィギュラブルな浮動小数点ユニット(単精度、倍精度、あるいはその両方)を実装するなどのオプションを活用して、演算機能の実行スピードを向上させることもできる。HS4xDは、超低消費電力が特徴のARC EMxDファミリーの互換プロセッサであるため、同じ命令セットを使用でき、両プロセッサ・ファミリー間でのコード移植も容易となっている。
高性能なRISCとDSP機能の組み合わせにより、HS4xDは、モバイル機器やホームユースの機器、車載インフォテイメント機器向けに高効率の多チャンネル・オーディオ・プロセッシング機能を提供する。また、オーディオ・デコーディング、ポスト・プロセッシング、音声命令によるHMIプロセッシングをサポートできるだけの信号処理能力を提供しつつ、通信スタックやファイルシステム・サポートなどの各種制御タスクを当時管理できる。こうしたタスクは、家庭内で増えつつある高性能ワイヤレス・ストリーミング・スピーカーや音声起動システムの実現にとって非常に重要である。HS4xD向けに最適化されたオーディオ/音声コーデックならびにポスト・プロセッシング・ソフトウェア群も、シノプシスならびにパートナー企業から提供されている。
HS4x/HS4xDプロセッサ向けプログラミングを支援するMetaWare Development Toolkit
ARC HS4xならびにHS4xDプロセッサ・ファミリーは、さまざまなソフトウェア/ハードウェア開発ツールを提供する強力なエコシステムでサポートされている。MetaWareコンパイラ/デバッガ、nSIM命令セット・シミュレータ、MQXリアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)、サードパーティ・ツール、Linuxをはじめとするオペレーティング・システム、業界の主要企業のミドルウェアなどである。MetaWare Development Toolkitは、FFTやDCT、FIRやIIRフィルター、ベクター/マトリクス演算機能などの最適化済みDSPライブラリも提供しているため、ソフトウェア開発者は、標準的なDSPブロックからアルゴリズムを迅速に実装できる。またMetaWare Development Toolkitは、音声コーデック開発のためのITU-T勧告の基本オペレーション ・ライブラリも提供している。通常のCコードに対しては、MetaWareコンパイラが、最高性能を引き出すARCv2DSP ISA命令を、ガイド付きまたは自動でのベクター最適化も含めて自動生成する。
シノプシス IPマーケティング担当副社長 John Koeterは次のように述べている。「我々は、SSD、ワイヤレス制御機器、ホーム・ネットワーキング機器といった組込みアプリケーションにおける凄まじい技術革新と複雑化を目の当たりにしていますが、組込みプロセッサの性能を劇的に向上させなければ、こうした進化を維持することはできません。最新のHS4xならびにHS4xDプロセッサは、ARCプロセッサ・ファミリーの最上位機種であり、これらをご活用いただくことにより、設計者の皆様は、開発対象の組込みデザインに求められるより高度な制御機能/信号処理機能を実現することができます」
提供可能時期と参考情報
DesignWare ARC HS44、HS46、HS48、HS45D、HS47Dプロセッサは2017年6月の提供開始を予定している。
HS4xならびにHS4xDプロセッサの詳細は下記より入手可能。
DesignWare IPについて
シノプシスは、システムオンチップ向けの高品質かつシリコン実証済みIPのリーディング・プロバイダである。シノプシスの多岐にわたるDesignWare IP群は、ロジック・ライブラリ、組込みメモリー、組込みテスト、アナログIP、有線・無線通信向けインターフェイス(業界標準プロトコル)IP、セキュリティIP、組込みプロセッサ・コアとそのサブシステムで構成されている。IPに関連するソフトウェア開発とハードウェア/ソフトウェア統合を容易にするため、シノプシスのIP Acceleratedイニシャティブは、IPプロトタイピング・キット、IP向けソフトウェアの開発キット、IPサブシステムを提供している。DesignWare IPは、信頼性の高い開発手法、品質確保のための巨額の投資の所産であるだけでなく、包括的な技術サポートとともに提供されているため、設計者は、IPのSoCへの統合リスクを最小化し、最終製品の市場投入までにかかる期間を短縮することができる。詳細情報はhttps://www.synopsys.com/designwareより入手可能。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
詳細な情報は、https://www.synopsys.com/ja-jp より入手可能。
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日本シノプシス合同会社 フィールド・マーケティング・グループ 藤井 浩充
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