ニュースリリース - 2017年3月10日

シノプシス、次世代SoC開発を行うシステム~半導体メーカー・サプライチェーンの協業を促進する新しい仮想プロトタイピング・テクノロジを提供

次世代SoC アーキテクチャの検討で必要になる主要な性能指標の把握工程を自動化する Platform Architect のタスクグラフ生成テクノロジ

概要

  • システム・メーカーと半導体メーカーは、次世代SoC のアーキテクチャ仕様の共同策定に仮想プロトタイピング手法を活用している。
  • 次世代SoC アーキテクチャに求められる性能ならびに消費電力の予測には、アプリケーションの処理 / 通信特性を正しく理解する必要がある。
  • タスクグラフを用いてこうした特性を明示することにより、求められる性能ならびに消費電力の要件を満たしたSoC アーキテクチャを開発早期段階で分析し効率的に検討することが可能となる。
  • シノプシスのPlatform Architect に搭載された新しいTask Graph Generator は、オペレーション・システム、Web 閲覧用イメージ・キャプチャー、動画再生などをはじめとする各種ソフトウェア・アプリケーション動作からタスクグラフを自動生成する。
  • タスクグラフにより、サプライチェーンを構成するシステム・メーカーと半導体メーカー間での開発作業の移管をスムーズに実行できる。


2017年3月8日 カリフォルニア州マウンテンビュー発
 – シノプシス(Synopsys, Inc.、Nasdaq上場コード:SNPS)は本日、サプライチェーンを通じてSoC アーキテクチャの性能仕様の共有を容易にする新しい仮想プロトタイピング・テクノロジの提供開始を発表した。Platform Architect の最新バージョンに搭載された新しいTask Graph Generator(TGG)テクノロジにより、システムに搭載されるソフトウェア・アプリケーションが必要とする主要な性能指標の自動抽出が可能となり、次世代SoC に求められる最適な性能ならびに消費電力の検討が可能となる。システム・アーキテクチャ開発チームは、TGG を活用することにより精度の高いアプリケーション負荷モデルを半導体メーカーに容易に提供可能となり、サプライチェーン内での共同作業を格段に効率化することができる。

株式会社デンソー 基盤ハードウェア開発部 ハード開発改革室 企画2課 担当課長 阿部孝司氏は次のように語っている。「車載エレクトロニクス機器に実装されるソフトウェア・コンテンツの増加に対処するためには、マルチコア・アーキテクチャの採用は避けて通れません。Platform Architect のTGG テクノロジの活用により、搭載するソフトウェアの主要特性を把握し、次世代マルチコア・アーキテクチャに求められる性能要件を高精度に抽出することができます。この手法を開発計画の早期段階で適用することにより、策定中のシステム仕様が、これらのアプリケーションで必要とされる性能指標を満たすものであるかどうかを確認することができます」

半導体メーカーは、Platform Architect を活用することにより、システム・メーカーのソフトウェア・アプリケーションの要求に基づいて開発中のSoC のアーキテクチャ仕様を定義することが可能となる。システム・メーカーはTGG を用いて生成したアプリケーション負荷モデルをSoC のプロセッシング・リソースにマッピングできる。これにより双方は、開発プロジェクトの早期段階で開発対象のマルチコアSoC アーキテクチャの性能と消費電力を検討/分析/最適化することが可能となる。またタスクグラフは、ソフトウェアそのものではなく抽象的な負荷モデルとして表現されているため、システム・メーカーは、実行可能な仕様としてそれらを半導体メーカーと容易に共有でき、サプライチェーン間での協業を促進することができる。

TGG は、ソフトウェアの実行状況をインプット情報として、アプリケーション特性をプロファイリングするテクノロジである。開発者は、システム上で所望のアプリケーション・プログラムを実行し、以下のTGG フォーマットでインプット情報を記録することができる。

  • Linux、Android、QNX ベース・システム上で実行したプログラムのOS レベル実行トレース
  • インテル社のピン・インストラクション・ツールを用いてx86 ベース・システム上で実行、あるいはシノプシスのVirtualizer Development Kit(VDK)もしくはARM® DS-5 Development Studio を用いてARMベース・システム上で実行したプログラムの機能レベル実行トレース

TGG は、実行トレースを分析して、各タスクの並列性や依存関係、タスクごとのプロセッシング・サイクル、メモリーへの書込み / 読出しアクセスなどのアプリケーション処理 / 通信特性を抽出する。抽出結果から生成した負荷モデル・タスクグラフを用いて、Platform Architect 上で新しいアーキテクチャの性能解析やベンチマークを実行する。

シノプシス ベリフィケーション・グループ 仮想プロトタイピングR&D担当副社長 Eshel Haritan は次のように述べている。「SoC の過剰設計もしくは不足を避けるためには、性能と消費電力効率の正しいバランスが重要な要素となります。Platform Architect のTGG テクノロジを使用すれば、システム設計者は、重要なアプリケーションの現実的なシステムレベル・ベンチマークを作成できます。これを使ってシステム・メーカーは、最終的なハードウェアやソフトウェアが完成する数ヶ月前の段階で、新しいアーキテクチャで実現すべき性能と消費電力を検討 / 最適化することができ、開発リスクの削減と結果品質の向上を両立させることができるのです」


提供開始時期ならびに参考情報
 
Platform Architect のTGG テクノロジは、既に提供を開始している。


シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq上場コード:SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計からソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)のグローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質/セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第15 位のソフトウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発しているSoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケーション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。詳細な情報は、 http://www.synopsys.com/japan より入手可能。

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